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zoom RSS 長期繁栄を維持する鍵

<<   作成日時 : 2017/08/11 21:27   >>

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もう随分と長い間イタリアを中心に歴史エッセイを書いて来た塩野七生が、今回の「ギリシャ人の物語V巻」を書き終えて終わりにするという。書く集中力を維持する体力が衰えたかららしい。彼女の50年にも及ぶ作家活動で学んだことは多々あるが、その一つを文芸春秋9月号で披露した。要約は下記。
長期にわたって高い生活水準を保つことに成功した国と、反対に一時期は繁栄しても直ぐに衰退期に向かってしまう国がある。この違いがどこにあるか、という問題。前者の典型は、古代ローマ帝国と中世・ルネサンス時代のヴェネツィア共和国。後者の好例は古代ギリシャ、中世ルネサンス時代ではフィレンツェ。前者と後者を分ける鍵は、上手く行かなくなった時期、つまり危機、に現れて来るというのが分かったと言うである。言い換えれば、危機をどう克服したかが、前者と後者を分ける鍵になるという訳である。その「鍵」、何も特別に作ったものではなく、そこいらに簡単にある。ただし、その重要性を認識できた人だけが見つけ出せるもの、という違いはある。それは、持てる力や人材を活用する、ということだと述べる。上手く行っていた時期に蓄積した力やその時期に育った人材を、停滞期の今だからこそ徹底的に活用してやろうという心意気でもある。人材が枯渇したから国が衰退するのではない。人材は常におり、どこにもいる。ただ、停滞期に入ると、その人材を駆使するメカニズムが機能しなくなって来るのである。要するに社会全体がサビついてしまうのである。ローマとヴェネツィアはこのサビを見事に取り除いたが、ギリシャやフィレンツェでは、サビを取り除くのを、リストラという方法に訴える。歴史的に言うと国外追放。お蔭でギリシャ時代のアテネやルネサンス時代のフィレンツェでは、テミストクレスやレオナルド・ダ・ヴィンチのような頭脳流出の先例を作ってしまった。回復を目指すという目的は同じでも、前者はリストラしないので回復を追求し、後者はリストラしてでも回復するのが一番、と考えている所にある。社員のリストラをしないでV字回復をやり遂げた経営者は、経済人でありながら政治的なセンスも備えた人ということになる。リストラ主義だと短期に回復を達成できるが、それとて長くは続かない。
あまりに平凡で簡単なことを、なぜ学会もマスコミも指摘しないのか、と塩野は言うのである。歴史を書くこととは、人間世界ならばそこら中に散らばっている、平凡で単純な真実を探し出して読者に示すことであり、長いことやって来てよかったと、結んでいる。中々含蓄のある見識ではないか。

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